「如何なる政府機関や金融機関からの介入も受けない新時代の決済システム」として2009年にリリースされ、仮想通貨という新たな金融マーケットを切り開いてきたのがビットコインです。
凄まじい勢いで普及して、後発のアルトコインを含めた仮想通貨マーケットは、今や存在を無視できないほどの巨大金融マーケットにまで成長しました。アルトコインの種類が多くなった現在でも、アルトコインの値動きはビットコインの値動きに大きく影響されます。
仮想通貨マーケットに対するビットコインの影響力は絶大なものですが、元祖仮想通貨ともいえるビットコインが11月に再び分裂するという情報が流れ仮想通貨業界に大きな衝撃を与えています。
ビットコインの分裂騒動の原因や今後の仮想通貨マーケットの動きなどを予想して紹介します。
Contents
ビットコイン分裂の原因とは?
8月にビットコインから分裂し新たにビットコインキャッシュ(BCH)がリリースされたのは記憶に新しいと思いますが、残された本家ビットコインが11月に再び分裂する可能性があると報じられました。
今回の分裂騒動の火種になった原因は、実は前回と同じ「ソフトフォーク支持者とハードフォーク推進派の対立」だといわれています。
仮想通貨マーケットに対し非常に強い影響力を持つビットコインですが、元祖仮想通貨のデメリットであるシステムの老朽化が問題になっています。
ビットコインが開拓した仮想通貨マーケットに新規参入するアルトコインは、既存の仮想通貨の脆弱性や新たなマーケットのニーズに答える形でリリースされています。ビットコインから分裂したビットコインキャッシュでさえも、現在はアルトコインとしてカテゴライズされています。
仮想通貨マーケットのパイオニアであるビットコインは、絶対的な支持を集めるあまりに効果的なシステムのアップデートを行うことができなかったことが仇となっていると考えられます。
ハードフォークとは?
簡単に説明すると、ハードフォークとは抜本的なシステムを変更することです。フルモデルチェンジのイメージに近く、以前のシステムバージョンと互換性のない大幅なアップデートを行うことを指してハードフォークと言います。
システムの脆弱性などの問題を、1回のアップデートで全て解決することができるのがメリットだといえるでしょう。
ソフトフォークとは?
大胆に簡略化して説明すると、一般的なコンピューターやスマートフォン、タブレットのアプリケーションで随時行われているのがソフトフォークです。
脆弱性の改善などのウィルス対策や処理速度の向上が望めるものの、ユーザーは新たなシステムデータをネットを通じてダウンロードするだけでバージョンアップできるのがメリットです。
有効なアップデートをビットコインが行えないのはなぜ?
仮想通貨の情報交換や売買の履歴は、ビットコイン技術の根源であるブロックチェーンというシステムで管理されています。
ビットコイン以外にもすべてのアルトコインが利用しているといっても過言ではないほど、仮想通貨マーケットに浸透しているシステムです。
「独自のデータ管理方式で情報管理を行う」という仮想通貨もありますが、実際にはブロックチェーンにオリジナル機能を付け足したものだといえます。
このシステムを実際に維持するのが、マイナーと呼ばれるマイニング業者達です。
彼らが不規則な高等数学を演算し、導き出した演算結果をブロックの一つ一つに紐付けることで、ブロックに書き込まれたデータの改竄を防いでいます。
そういった理由により、アップデートにはマイナーの意志が大きく影響されます。
なぜソフトフォーク支持者とハードフォーク推進派が対立するのか?
8月のビットコイン分裂騒動の際にメディアに取り上げられたマイナーは、演算工場ともいえる工場内に非常に多くの高性能演算機(高性能コンピューター)を準備し、24時間365日態勢でブロックチェーンで求められる演算作業を行っていました。
演算工場に多額の投資を行ったマイナーにとって、従来のシステムとの互換性がないハードフォークは死活問題となり、非常に多くのマイナーがソフトフォーク支持を訴えた結果が8月の分裂騒動でした。
ハードフォークを繰り返せばビットコインのシステムの安全性は向上しますが、マイナーにとっては負担増となってしまうので、11月に再び予定されているハードフォークで分裂騒動が再燃するのではないかと考えられます。
ビットコイン分裂後の仮想通貨マーケットの動きは?
仮想通貨マーケットを開拓したビットコインは、マーケットの値動きに大きく影響していることは既に紹介しました。
ビットコインの値動きはアルトコインに対して影響するものの、アルトコインの値動きはビットコインに対して影響を及ぼさないというビットコイン1強の時代が長く続いています。
しかしマーケット規模が拡大し、アルトコインマーケットが過熱し始めた現在、仮想通貨マーケットは大きな転換期を迎えているのかもしれません。
事実、ビットコインに集中していた投機資本がアルトコインに流入し始めているような動きが確認できます。
coinmarketcap.comでは、ビットコインのほかに1,153銘柄のアルトコインのマーケット価格や各仮想通貨の時価総額が公開されています。
注目点はアルトコインのマーケット価格が上昇し、時価総額においても順調な成長をみせているところでしょう。
ビットコイン分裂後にビットコインに取って代われる通貨とは?
アルトコインの台頭が目覚しいなか、8月にビットコインから分裂したビットコインキャッシュはアルトコインマーケット第3位にランクインしています(2017年10月現在)。
ビットコインの影響力の強さを感じさせられるのですが、その他のアルトコインも順調に時価総額を増やしています。
2017年10月現在のアルトコインマーケットでの時価総額ランキングは次のとおりです。
1. Ethereum($28,470,880,412-)
2. Ripple($9,734,184,645-)
3. Bitcoin Cash($5,490,966,249-)
4. Litecoin($2,680,286,484-)
5. Dash($2,179,632,598-)
6. NEM($1,960,029,000-)
7. NEO($1,535,765,000-)
8. IOTA($1,325,149,401-)
9. Monero($1,320,135,442-)
10. BitConnect($1,147,018,876)
アルトコイン上位10銘柄の時価総額の合計が$55,844,078,087-となりビットコインの時価総額である$80,211,812,283-の70%に迫ろうとしています。
以前は、アルトコイン全銘柄の時価総額がビットコインの時価総額の20%程度だといわれていたので、これは大きな成長だといえるでしょう。
仮想通貨は衰退していくのか?
アルトコインが着実に力を付けてきている現在の状況から推測するとビットコイン1強の時代はもう長く続かないと考えられます。
アルトコインの中でもランキング1位のEthereumから分裂したEthereum Classicはランキング12位に付け優良アルトコイン銘柄といっても過言ではありません。
ここからは個人的な推測になりますが、今後は淘汰が進み体力のある健全な仮想通貨の銘柄が生き残っていく時代に突入していくのではないかと思っています。
中国では、政府が仮想通貨取引所の全面閉鎖や仮想通貨による資金調達方法であるICOの全面禁止を打ち出し、これに習った韓国政府もICOの全面禁止を発表しました。
対照的に日本政府は仮想通貨売買の際の消費税を撤廃し、仮想通貨の流通を促そうとしています。
政府が認めた決済方法のひとつとして国内での仮想通貨の動きは活性化することが予測されます。
ビットコイン分裂後の仮想通貨マーケットの動きは?
仮想通貨のシステムを構築し、マーケットを切り開いてきたビットコインは評価に値する仮想通貨であることには変わりありません。
しかし、あまりにも巨大化しすぎたのと同時に大手のマイニング業者が発言力を持ち、その発言がビットコイン運営に大きな影響力を与えてしまっているのも事実です。
「如何なる政府期間や金融期間からの介入も受けない新時代の決済システム」としてスタートしたはずのビットコインが、マイナーの介入を受けて分裂してしまうのは皮肉なことだと感じます。
とはいえ、仮想通貨のマーケットは拡大を続けていますし、投資家達の投資熱も下がる気配がなく日本政府の行った措置も追い風となり仮想通貨マーケットへの資金の流入はまだまだ続くと考えています。
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