最近ニュースやネットを騒がしている「仮想通貨」ですが、これまでその「仮想通貨」を規定するような法律は日本に存在しませんでした。
ここ1年の急激なビットコイン等の値上がりにより、外国だけでなく日本においても法規制の必要性が求められるようになりました。
そこで、資金決済法の改正案が平成28年5月25日に参議院で可決され、平成29年4月1日付けで施行されました。
新法には、「仮想通貨」や仮想通貨取扱業者への規制が新たに盛り込まれているほか、適正な取引所の運営についてだけではなく、マネーロンダリング防止やテロ資金防止のほかに、利用者保護観点からもさまざまな条項が入っています。
この改正資金決済法の内容についてご説明していきます。
Contents
仮想通貨の定義
改正資金決済法において、「仮想通貨」についての定義づけがなされました。
これまで正式な用語でなかった「仮想通貨」も、正式に法律用語としての「仮想通貨」が定義づけられることになったのです。
なお、改正資金決済法では、2種類の仮想通貨が定義されています。
1号仮想通貨とは(資金決済法2条5項1号)
改正資金決済法では、以下の要件をすべて満たすものが1号仮想通貨と規定されています。
- 物品の購入・借り受け又はサービスの提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用できること
- 不特定の者を相手方として購入・売却ができる財産的価値であること
- 電子機器その他の物に電子的方法により記録されていて、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
- 日本および外国の通貨、ならびに通貨建資産でないこと
当然、電子マネーは仮想通貨にはあたりませんが、その理由は、電子マネー加盟店でないと使用できず、日本円で表記されるからです。
2号仮想通貨(資金決済法2条5項2号)とは
また、改正資金決済法では、以下の要件をすべて満たすものが2号仮想通貨と定義しています。
- 不特定の者を相手方として1号仮想通貨と相互に交換ができる財産的価値であること
- 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
つまり、物品の購入・借り受け又はサービスの提供を受けることができるのが1号仮想通貨で、1号仮想通貨と交換ができるものが2号仮想通貨になります。
仮想通貨交換業について
では、仮想通貨の取引について説明していきます。まず、仮想通貨交換業とは、以下のいずれかの行為を事業として行うことと規定されています。
- 仮想通貨の売買または交換
- 仮想通貨の売買または交換の媒介、取次ぎまたは代理
- 上記二つの行為に関して、利用者の金銭または仮想通貨の管理をすること
つまり、事業として仮想通貨の売買や他の仮想通貨との交換、その取次などをしたり、利用者のお金や仮想通貨を管理することが仮想通貨交換業となるのです。
仮想通貨交換業の規制について
仮想通貨交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができません。また、この登録を受けた者のことを仮想通貨交換業者と呼びます。
金融庁は、2017年9月29日に仮想通貨交換業者としてビットフライヤーなど11社を登録したと発表しました。さらに、ほか17社について継続審査中だとしています。
したがって、これまでは国内に法律がなかったため誰でも行うことができましたが、これからは登録を受けなければ行うことができなくなります。
こうした点で規制がなされることになります。
ちなみに、インターネット上などで仮想通貨の取引を謳っておきながら登録を受けていない業者も存在するようです。
しかし、こういった業者が販売しようとする商品には仮想通貨という名前がつけられていても、その商品が上で説明した法律上の「仮想通貨」の定義に該当していなければ、法律上の「仮想通貨交換業」を行っているわけではないので、その業者は登録を受ける必要はありません。
よって、仮想通貨取引の際には、金融庁が正式に発表した業者かどうかをまず確認し、悪徳業者でないかを慎重に見極める必要があります。
仮想通貨交換業の登録に必要な要件
改正資金決済法では、仮想通貨交換業の登録申請が拒否される場合について規定されています。それらの条項逆に読むことで、仮想通貨交換業の登録に必要な要件が明確になります。
以下にそれらを列挙します。
- 株式会社または外国仮想通貨交換業者(国内に営業所が必要)であること
- 外国仮想通貨交換業者は、国内における代表者がいること
- 資本金の額が一千万円以上で、純資産額がマイナスでないこと
- 仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていること
- 法令遵守のために必要な体制の整備が行われていること
- 他に行う事業が公益に反しないこと
- 取締役若しくは監査役又は会計参与等が破産や刑に処せられた等の欠格事由がないこと
国内における代表者がいたり、国内に営業所が必要としているのも、実態が全て海外だと摘発ができないためだと考えられます。
また、資本金額が定められているのは、仮想通貨交換業としてのシステム構築などの費用が必要であるからで、純資産額がマイナスでないことが求められているのは、債務超過の業者による、一時的な資金操作を除外するためであると考えられます。
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